Bunker Hill の The Girl Can't Dance
どうも、サイダーです。今回はブチ切れ発狂 リズム&ブルースシンガー、Bunker Hill の曲について。
Bunker Hill ご尊顔。白い歯むき出しニッコリの白黒写真でインパクト大。
Bunker Hill (musician) - Wikipedia
知ったきっかけとしては、どこぞで「狂犬のようなとんでもシャウトをかます黒人シンガーがいる」と目撃したことから。何かのブログだったかなと記憶しています。
そもそも。過剰な煽り文が振られた70年代以前の曲なんかを聴くと、脳内で出来上がっていた妄想のソレとは違ったものが出てくる、というのが世の常です。
例えば僕の実体験で言うと、The Sonics にハマっていた頃に他の60年代物ガレージバンドのアルバムを買ったら、The Sonics のようなハードコア系ガレージを想像していたのに へなちょこ系のバンドだったので、ガックリきてしまったということがありました。
知名度の高い有名バンドを気に入って、そのジャンルのコアなバンドを掘ろうとするとよくぶち当たる壁じゃないかと思います。
そして Bunker Hill は、ですが。上記のような辛酸をなめなめした経験から、「そんな都合のよい声の持ち主なんかそうそういなかろう」と脳内武装をしつつ、Youtube のリンクをクリックしました。そしたらなんか野獣のような声が聞こえてくるではないですか。
Bunker Hill の The Girl Can't Dance。 耳の穴から脳汁があふれ出ます。
なんとまぁ強烈なこと。どうやったらこんな声が出るんでしょうか。喉にエフェクトでもかかってるんでしょうか。
Bunker Hill のぶっ壊れシンギンもさることながら、バックの演奏もえらく生々しげです。それもそのはず、Link Wray がバックバンドとしてついているのです。
Link Wray の Rumble を聴いて、ギターウルフのセイジ氏は強烈な影響を受けました。ジミーペイジも Rumble を聴くとニコニコしてしまいます。アンプのスピーカーに穴を空け、世界で初めてギター音を歪ませたのも Link Wray です。ギターのパワーコードを発明したのも Link Wray です。
この世に存在する「ロック」と呼ばれるフォーマットの曲は、ギター音が歪んでいる or パワーコードを使っている という確率が非常に高いです。つまり、Link Wray はロックの創造神と言っても過言ではありません。そんな偉人がブチ切れシャウティング黒人とタッグを組んだら、どえらい物ができるに決まっています。
Link Wray の Rumble を聴いてご満悦のジミーペイジ先生。映画 It Might Get Loud からの一節。
『Bunker Hill 』…実はこれステージネームです。そもそも Bunker Hill のアニキはゴスペルシンガーだったので、キリスト教に根差した音楽やってるのにリズム&ブルースなんて音楽に手を染めてよいのか、と悩んでいたところ Link Wray 神が変名を勧めたのです。
かくしてロック神から変名という名の クリスチャンネーム ならぬ ロッキンネーム というアイディアを授かり、アニキは Bunker Hill という名で凶悪な叫び声をあげ元気に歌いまくっている訳です。
上で紹介した The Girl Can't Dance 以外にもアニキとロック神バンドのタッグ曲はあるんですが、例えば Red Ridin' Hood and the Wolf という曲でも血管がちぎれんばかりに叫んでます。
Bunker Hill の Red Ridin' Hood and the Wolf。赤頭巾と狼、ですね。
実はアニキ、経歴もちと変わっておりまして。前職がプロボクサーであります。ブルースマンとかにも「殺人で豚箱行きになり、刑務所出た後にギター弾き始めた」とか変わった経歴の持ち主はいますが。ボクサーは肺活量も半端ないのでしょうか。
音源のオリジナルは当然レコードばかりなのですが、今だと各種コンピレーションに入っている物を買えばよいのかなと思われます。かくいう僕はリトルリチャード姉御のフォロワー集みたいなのを買いました。
今の所アニキは、僕の中でイカレシャウトランキングNo.1の座に鎮座しっぱなしです。
おまけ:殺人歴ありのブルースマン、Son House の Death Letter。どうも殺人は正当防衛だったらしいですが。