頭の中の音楽がコンクリートジャングル

好きな音楽やバンドを聞かれると1分で端的に語ることができないことに気付いたので、頭の中の音楽情報を片付けたりするブログです。

My Bloody Valentine の Loveless

どうも、サイダーです。

 

12月ともなるとさすがに冬ですね。寒いですね。ほんの数日前には街中にガッデムカッポーが大挙して押し寄せていましたが、「メリークリスマスとかなんやねん、仏教徒やねんワシ」と涙を呑んで耐え忍んでいた非リア諸君、お元気ですか。このブログでは極力時事性だとか季節感だとかは廃してやっていこうと思っていたんですがね、如何せん寒すぎてたまらなくてですね。僕が冬に必ず聞きたくなるアルバムの話を。

 

今回紹介するのは、My Bloody ValentineLoveless です。My Bloody Valentine ことマイブラは、シューゲイザーという一大ジャンルを創り上げた偉大なバンドです。僕は「ジザメリがー」とか「スーパーカーがー」ってな感じにシューゲイザーがあればご飯3杯いけるとかいう口では無いのですが、My Bloody Valentine は好きです。

 

Loveless のジャケット。ギターのジャズマスターをフィーチャーしとるっぽいですが、アルバムの音と同じ具合にボワボワのグアングアンです。

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マイ・ブラッディ・ヴァレンタイン - Wikipedia

ラヴレス (アルバム) - Wikipedia

 

 

My Bloody Valentine の Only Shallow。グイーンギョワーンという強烈なイントロが終わると今度はボアボアしたバッキングを背中にホワーっと透き通った歌声が。

 

さんざん語りつくされてることですが、そもそもシューゲイザーっていうジャンル名の成立ちは、靴(Shoe)を凝視(Gaze)する人(Shoegazer)というところからきています。一説によると、ギターの音をグワングワンのボワワワンのビャーにする為に、エフェクターと言う名のペダルをいっぱいカチカチ足で踏みたくるが為、その光景が靴を凝視しているように見えたから・・・・・・という説がよく採用されますし、自分としてもそのように理解をしていました。

 

が、しかし。 Wikipedia には「ムースってバンドのギターボーカルが歌詞カードばっかみて歌って演奏してたのを、記者がシューゲイザーって言ったのが始まりですプププー」ぐらいに書いてあって、スタント用ビール瓶で殴られるぐらいの衝撃を覚えました。僕としては、「人と意思疎通さえできりゃ、ジャンルとか用語とかに多少の間違いがあっても割とどうでもいいや」と思っている派ですが、ジャンルの語源なり由来なり調べるとすんげー拍子抜けして、さらにどうでもいいや感が加速することが多いです。今回もそれは加速しました。実際の所、やっぱりほとんど靴を凝視しているようですが。

 

シューゲイザー - Wikipedia

 

ジャンルの話はこの辺にしときまして。マイブラといえば、きれいなチャンネーによるホワーとしたボーカルと、頭ん中いったいどうなってるか分からんブワブワノイズの御曹司によるギターがギョワー、というのが主成分であることは疑いようがないと思います。

 

まずは、きれいなチャンネーこと Billinda Butcher から。

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バンドに加入したのは一番最後ながらも今よく知られる最盛期マイブラにとってなくてはならない女声担当です。シューゲイザーというのは60年代サイケの再解釈という向きもあるようですが、このメロウなじんわり声はそんな話も納得できます。ちなみに透明ボーカルでありながら当時はスモーカー。

 

現役時代のインタービュー動画を見ると、彼女と Kevin Shields の二人でよくインタビューに応じていたようですが、ほとんど彼女はしゃべっておりません。ええ、こういうタイプのおねーさんは隣でフフフって笑いながら立っとるだけで十分なんすよ。

 

 続いてはバンドの実質的ブレイン、Kevin Shields

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ネットを漁って読んだビリンダおばちゃん(2016年現在55歳)のインタビューによると、「いちから彼に教えてもらって演奏するよりも、やってもらった方が早いでしょ?ウフフ!」(一部誇張表現あり)ということで、スタジオでの録音は彼が全て演奏していたようです。頭の中で音を鳴らすシミュレーションをして、それをいかに再現するかというのに腐心しているというのを彼のインタビューで知ったのですが、さすが新しいサウンドのパイオニアだけに恐ろしい才能ですね。

 

ギターサウンド的なところの話もエフェクターのことをはじめ色々と逸話はありますが、あのフワフワしたぼやけた音はトレモロアームを使いながらコードストロークすることで出しているというのも、今では有名な話ですかね。ノーベル賞物の発想です。

 

Kevin Shelds 御大近影。1:12辺りから、必殺トレモロアームでギョワーンの実演です。

 

最初の方にも書きましたが、個人的には冬に効きたくなるアルバムの筆頭格でありまして、それと言うのも このアルバムが放つボンワリとした音が体感温度を1℃ぐらい上げてくれている気になるからです。単にアルバムの色がなんかピンクと赤が混ざった暖色系だからなのか、頭からしっぽまで音の壁で覆われているからなのか、理由ははっきりしませんが。

 

母体にいる胎児が聴いている音は、テレビの砂嵐と似ている、という話を聞いたことがあります。ノイズ音というのは、何か生き物として安心を覚える物なのやもしれません。体感温度 云々はその辺が関係しているのやもしれません。その辺の因果関係もやっぱりはっきりしませんが。

 

My Bloody Valentine の Soon。この曲がアルバムのラストソングですが、この曲が終わると体感温度が3℃ぐらい下がって相対的にアルバム聴きはじめよりも寒く感じられる為、またアルバムをリピートするっていうシューゲイズジャンキー状態となります。