頭の中の音楽がコンクリートジャングル

好きな音楽やバンドを聞かれると1分で端的に語ることができないことに気付いたので、頭の中の音楽情報を片付けたりするブログです。

Gang of Four の Entertainment!

どうも、サイダーです。今回は Gang of Four です。ジャキジャキ。

 

Gang of Four の Dameged Goods。ジャッキジャキ。

ギャング・オブ・フォー (バンド) - Wikipedia

 

さて、Gang of Four です。おそらく世の Gang of Four ファン 及び それに近しいロックファンについては、Gang of Four の魅力について聞くと十中八九、「ギターの音」という答えに類する返答をすることでしょう。僕自身もその多数派の支持する例に漏れず、「ジャキジャキ ギター」と答えを返すことでしょう。

 

まずこのジャキジャキについて、少し深く探ってみましょう。

 

カッティングギター、という言葉があります。主に今回紹介している Gang of Four に限らず、ギターのカッティングというテクニックを多用するバンドやギタリストによく冠される言葉であります。例えば、Gang of Four のギタリストである Andy Gill のスタイルは勿論カッティングギターを多用していますし、彼が影響された Dr.Feelgood のギタリスト Wilco Johnson も、この手の話ではよく引き合いに出されるジャキンジャキのカッティングギター野郎である訳です。

 

Dr.Feelgood の She Does It Right。このギタリストの音、手さばき、そして怪しげな前後移動……すげえ。そんでピックじゃなくて爪でこんなギター弾いちゃうっていう。頭おかしい。

 

さらに深く話しますと、カッティングというのは ”ギター弦を爪弾く側の手で弦を押さえて、歯切れよく音を止める” という行為自体を示すことがどちらかと言えば正しく、ジャキジャキ系ギタリスト達が多用しているジャキジャキ音は、ブラッシングの多用によって成り立っている様に思えます。

 

ブラッシングについて話す前に、そもそもなぜギターは音が鳴るのか。普通にギターを鳴らす場合、”弦を押さえる側の手”で弦を押さえつつ 弦を振動させると、ジャラーンと響く音が鳴るんですが、それに対して ブラッシングというのは”弦を押さえる側の手”で完全に弦を押さえるのでなく、弦には触れつつも 弦を浮かせた状態で弦を振動させるのです。

 

この辺分かりづらいのでもう少し説明すると、ギターの弦を押さえている指の辺りを見てもらうと分かると思いますが、フレットと呼ばれる細長い金属が埋まっています。このフレットに弦を押さえつけている状態で弦をビーンと弾くことで、ギターは音が鳴るのです。普通に音を鳴らす場合は指板にギュッと指を押さえつけてフレットに弦が乗っている状態でジャカジャカやる訳ですが、フレットに付かないぐらいの力で弦を押さえて弦を弾くと、ジャッジャという風な音が鳴るのです。これをブラッシングと言います。

 

The Pirates の Lonesome Train。ここのギタリストの Mick Green もこの手の話で良く出てくる人です。

 

カッティング系のギタリストは総じてギターを弾く方の手の動かし方が上手いのでカッティングが上手けりゃブラッシングだってそれなりに上手っぽいですが、カッティングとブラッシングが混同されたような文章を時折見かける今日この頃に一石を投じるべく、上の文章をしたためた次第です。伝われば幸いでございます。ええ。

 

ごちゃごちゃ言いましたが、まぁ音楽ジャンルとかの話と一緒で、相手に自分の意思が通じればカッティングだろうがブラッシングだろうがどちらでもいいのではないかと。

 

Thee Michelle Gun Elephant の Out Blues。バッキバキ。ギタリストが放つ右手の速さはすごいです。頭おかしい。ギタリストの彼は Dr.Feelgood 大好きっ子でもあります。

 

これ以上カッティング関係の話を続けると Gang of Four の影が薄くなるので、ここら辺で Gang of Four のアルバムの話に戻ります。

 

上でさんざん語った通りギターがジャッコンジャッコン炸裂する中、淡々とボーカルが歌い上げる……初めて聴いた時はある種の冷たさを感じました。しかし ただ冷たいだけでなく、弦を千切らんばかりにガツンガツン弾きまくるアグレッシブギターのおかげで、有機的な熱量を保ったまま、という。

 

僕が好きなジャキジャキ系ギターのバンドはギタリストの右手から発せられる慌ただしさからか暑苦しくなる場合がほとんどですが、彼らの場合はどこかひんやりとしています。元 Number Girl の向井氏は「エレクトリックギターの音は非常に金属的な音だと思いますねー」という旨の発言をしていました。Gang of Four のギター音から僕が感じるのは、まさにその金属的な音や響きです。そして上にも書いた通り、ただ金属的なだけでなくガツガツと弾くエネルギーによって有機的な熱さが足されて、僕始めロックボンクラの脳に強く働きかけるものが有るのでは無かろうかと。人は相反するものが絶妙にミックスされている時、強く感動するんでしょうね。きっと。

 

冷たいけれども有機的。まるで映画の未来世紀ブラジル……何故かこのアルバムを聴くたびにあの映画を思い出します。

 

映画 未来世紀ブラジルのワンシーン。管理社会の冷たい側面を描きながら、目に飛び込んでくるのはレトロフューチャーな物体が色々。画像は、劇中 元同僚に拷問される主人公の図。良い映画です。

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もう少し、アルバムの曲でも紹介したいと思います。このアルバムの代表曲と言えば冒頭の Damaged Good なのかなと思いますが、個人的なお気に入りは6曲目の Guns Before Butter です。アルバムの中でも屈指の、ギターで畳み掛ける一曲です。

 

1曲目の Ether も外せません。16分のリズムでザクザクとやられるともう駄目ですね、脳みそが無条件に汁を出します。僕は食べ物もザクザク・サクサク・カリカリ・パリパリ といったクリスピーな擬音の物が好きなので、脳みそが何かを食べていると勘違いしているかもしれません。

 

Gang of Four の Guns Before Butter。まるでギターに切られるかのような曲。

 

Gang of Four の Ether。アルバム1曲目です。1曲目が良い、というのは 良いアルバムの条件だと個人的に思っていますが、これには脳みそがしびれました。

 

それではまた。皆様の持っている何かしらのスピーカーから、ギターのジャキジャキ音が少しでも鳴らされることを祈念しつつ。