The Stooges の Fun House
どうも、サイダーです。今回は The Stooges 。Iggy Pop じーちゃん(2016年現在、69歳) が若かりし頃にリリースしたアルバム、Fun House です。
Fun House のジャケット。何か火のようなものがグローブ付けたおっさん(Iggy)を覆ってるようにも見えますが、実はイギー先生の顔がドアップでババンとなっておるのです。それ故、ジャケット縦置き派と横置き派が存在するものと思われます。
The Stooges の T.V. Eye。
"イギーポップ" 。少しこの手の音楽かじってりゃ耳にする単語と思いますが、 "The Stooges" という単語は、当社比で70%もの人が把握していないと思われます。Iggy が結成した The Stooges は偉大です。それは The Stooges に付いて回る言葉を聞けば瞭然です。"パンクのゴッドファーザー"然り、"プロトパンク"然り。
そしてそんな The Stooges に影響されたバンド関係筋も数知れず。僕が好きな The White Stripes、Mudhoney、Black Flag、兎に角沢山。早速関連画像をご覧にいただきましょう。
<その1>
The Stooges のシングルレコードを掲げ、恍惚の表情を見せる The White Stripes 時代の Jack White さん。ええ、カッコつけとかそういうのじゃなく、恍惚の表情にしか見えません。見えませんかね。
<その2>
Mudhoney の Mark Arm さん(右)と、とりあえず Fuck サインでキメる Iggy さん(左)。髪型といいボーカルスタイルといいステージパフォーマンスといい、Mark Arm はどっからどう見ても Iggy Pop 大好きっ子感満載です。現に、The Stooges 好きを公言していますし、何よりこんな写真撮ってもらっちゃうぐらいです。
<その3>
女性に触れて思わず笑顔な 元 Black Flag の Henry Rollins さん(右) と Iggy さん(左)。ちなみに真ん中の女性は Modi Franc さん。(シアトル周辺人脈のPVとかコメディとかを手掛けていた監督さんのようです。)Rollins さんもそりゃあこがれの Iggy さんと写真撮れてご満悦。きっとエロいことは考えていないはずです。
…ご覧の通り、みんなもうメロメロな訳でございます。僕が好きなバンドの人たちがもうこんな感じなので、僕自身メロメロになるのはご理解いただけたことと思います。
Mark Arm、Mike McCready、Duff McKagan、Barrett Martin のシアトル関係メンバーで構成された The Stooges トリビュートバンドの Down on the Street。見る人が見たら鼻血アンド卒倒レベルの面子。
The Stooges や Iggy Pop の愛されっぷりが分かった所で、アルバムの解説に戻ります。
1970年にリリースされたアルバムですが、当時のセールスは残念なものだったそうで、この年にリリースされたロック関連のアルバムを見ると何となく原因は分かります。
<1970年にリリースされたアルバム群>
(バンド : アルバムタイトル)
Black Sabbath : Paranoid
The Beatles : Let it be
Led Zeppelin : Led Zeppelin III
Deep Purple : Deep Purple in Rock
Pink Floyd : Atom Heart Mother
時代的にも、ハードロックやプログレなんかが全盛期。そんな中、我らが Iggy さんがこのアルバムで志向したのは「ロックとかジャズとかそういうのをごちゃ混ぜにした音楽がやりたかった」という、パンク魂に通じる"とりあえずやったろやないかい"の精神だったのでした。一見、毒にも薬にもならない取り合わせ、、、そりゃ売れません。
ですが、時は変わって1977年。世界はパンクの真っただ中。The Clash、The Damned、Sex Pistols がアルバムをリリースした年ですが、この3バンドは The Stooges をカバーしたりと強く影響を受けています。特に The Damned は、1st アルバムに 1970 のカバーを放り込む始末。このあたりに The Stooges がパンクゴッドと呼ばれる所以がある訳ですが、The Stooges や Iggy Pop の衝動性や破滅的な雰囲気・誰もやったこと無いことをやるといった、パンクの規範にベストマッチングしているが故のリスペクトだったのではないでしょうか。
The Stooges の 1970。The Damned は "I Feel Alright" という曲名としてカバーしています。
そんなわけで、今でも多くのバンドや何かに多大な影響を与えているわけなのです。僕個人の感想としては、最初ただものじゃない感じを受けたものの、当時聴きかじっていたのはまさに上で挙げた1970年リリース物のようなハードロックやなんかでしたのでそこまで激しく心を揺さぶられることはなかったのですが、パンクやガレージを通過したのちこのアルバムを聴くとあら不思議。やけっぱちで荒い歌・演奏に、ジャジーな渋さが絶妙に絡まったこのアルバムの魅力がよく理解できたので、そこからはもう大の虜です。特に Iggy 先生の叫び声というかキチガイボイスは素晴らしいですね。夜・もしくは夜中、一人でのんびり車を走らせている中で聴く確率が異様に高いです。
のっけから怪しげなギターリフが続く Down on the Street から始まり、まるで夜中に道の真ん中を酒でも飲みながら歩くような淡々としていながらも少し激しいテンションがしばらく続きます。そして疲れて地べたにへたり込むように4曲目の Dirt で一旦クールダウン、かと思えば5曲目に 1970 が流れて再びひと暴れ。後半は飲んだくれて暴れたいけどフラフラ千鳥足といった感じでフリージャズ風の Fun House が流れ、最後には二日酔い寸前の天井ぐるぐる状態(よいこのみんなへ:しこたまお酒を飲むと、天井や景色が回ったり動いたりしているように見えるよ!)という雰囲気の L.A. Blues で終演。いやー、なんかろくでもないアル中みたいな例えになってしまいましたが、嘘ではありません。マジです。
The Stooges の Loose。Fun House の2曲目です。決してテンポが早い訳ではなく、リバーブも深くかかっていて淡々とした雰囲気を醸し出していますが、イギー先生の声といいギターのうねりといい、さりげなく激しいのです。こういうのをフリーキーとでも言うのでしょうか。
おまけ: Radio Birdman の T.V. Eye。彼らも The Stooges チルドレン一味であり、バンド名は 1970 の "radio burnin' " を聞き間違えた歌詞から名付けたそうで。オージーバンドでございます。